第7話「おセンチな秋」
「はぁ、秋は悲しいわ……こうして人は別れていくのかしら」
「はぁ??」
「でも、でも……」
「でもそんなの、認められないわっ!」
「一体どうしたの、美咲?」
「はっ……な、七海っ!」
「もぉ、そんなびっくりしないでよぉ」
「ビックリするわよっ! アンタってホント、神出鬼没なんだから」
「そんな事ないよ、もぉ! 珍しく美咲がなんか元気なさそうだったから、どうしたのかなって」
「珍しく、は余計よっ!」
「でも……ありがとう、心配してくれて」
「ドキッ、しおらしい美咲って、ちょっと可愛い……普段、生意気な娘の憂い顔って、ゾクってしちゃうかも……」
「……コホン」
「あ、あふ……ゴメン……」
(わたし、お姉様一筋、だもんね!)
「……はいはい」
「でも美咲がしおらしいなんて、ますます心配……どうしたの?」
「あの、実はね……」
「……フラれたんでしょ、お兄さんに!」
「………………」
「あ、あれ? あれれ?」
「葵……しばかれると思って防御しているのに……何故、怒りの一撃が出ないの?」
「もはや、葵の存在と言動を完全、完璧無視とか!?」
「あぅぅ……そんなぁ、存在まで否定しないで、せめてリアクションしてよぉ〜」
「そうね、傷つけあって生まれる愛もあるのよね……女の子同士でも」
「………………」
「もぉ、私まで無視? どうしたの、本当に変だよぉ?」
「ふぅ……もう、秋よね……」
「そう、秋は別れの季節……やっぱり、失恋ね?」
「う、うぅ……」
「ほら、やっぱり葵の言ったとおり……うぎゃっ!」
「……フンッ」
「あぅ、あうぅ……でも無視されなくて、ちょっと嬉しい……」
「ああ、これでまた、禁断の愛が生まれるかも……」
「もぉ、これ以上バカ話は止めてっ! ワタシ、真剣に悩んでるんだから」
「……そうね、失恋で悩んでいるのよね」
「もぉ、失恋じゃないわ!」
「じゃ、何? お兄様との夜の営みが、うまくいかなくなったのかしら?」
「そうなのよ、最近のお兄様、以前よりも一晩の回数が減ってるし、量も……」
「………………うーわー」
「って何言わせんのよっ! ワタシとお兄様は別に……」
「……はいはい」
「まあ、周知の事実は置いておいて」
「美咲の悩みって、どうせそのお兄様関係でしょ?」
「う、うぅ……そう、なの……」
「お兄様に失恋……もう、家に居づらいわね」
「違うの、お兄様がワタシの前から、居なくなっちゃうのよっ!!」
「……えっ、それって……??」
次回に……続くっ♪
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