第12話 「突然の電話」


  教頭先生とのお話は、私に一歩踏み出すチカラをくれました。
  蓬莱泉瑠奈さん――
  私に‘あの人’を思い起こさせる女の子。
  彼女とちゃんと向き合わなければいけない……

  「まずは昨日のこと、彼女に謝ろう」
  「それから、逃げずに話を聞いてあげなきゃ」
  「無理に‘教師と生徒’なんて立場を意識したりしないで……」


  ×   ×   ×


  「みなさん、おはようございます!」
  「「おはようございます」」
  「(……あれ?)」
  「あの、蓬莱泉さんの姿が見えないようだけど……」
  「私たちも、今日はまだお姿を見ておりませんわ」
  「まだ来てない?」
  「携帯電話の方におかけしても、お出になりませんの……心配ですわ」
  「…………」
  「(もしかして……私のせい?)」
  「ご、ごめんなさい、みなさん! 少しの間、自習にしますっ」


  ×   ×   ×


  プルルルルル……
  プルルルルル……
  プルルルルル……ガチャッ

  「……出ない」
  「自宅にいないのかしら?」
  「それとも、なにか事故に……」
  「だ、ダメよ貴子! 悪い方にばかり物事を考えちゃっ」
  「(こんな時‘あの人’に連絡が取れないなんて……!)」

  ピリリリッ! ピリリリッ!
  「うひゃう!?」
  「わ、私の携帯……?」
  「しかも知らない番号……」

  ピッ
  「は、はい、もしもし。墨廼江です」
  「はい? あ、あの、どちらさまで……」
  「……え? ええええええ!?」



  突然かかってきた電話。
  それはまさに‘あの人’からのものでした。
  1年ぶりの連絡に喜ぶ間もなく、あの人は全部を話してくれたのです……


次回に……続くっ♪

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