第5話 「謎の‘ねえさま’」




  ‘あの人’によく似た顔立ち。
  滲み出る高貴な立ち居振る舞い。
  そしてなにより‘蓬莱泉’なんていうとっても珍しい名字。


  最初から気付くべきだった。
  間違いなくあの少女は……


  「せーんせい♪」
  「う……蓬莱泉さん……」
  「なぁに? その嫌そうな顔」
  「そ、そんなことないわよ」
  (ホントはニガテだけど……)
  「ねえ、せんせい。今日、一緒に帰りましょ」
  「一緒にって……私と?」
  「当たり前でしょ。せんせいに言ってるんだから」
  「でも、私と蓬莱泉さんの家は――」
  「安心して。わたしが住んでるの、せんせいのマンションの目の前だから」
  「目の前……って」
  「ええーっ!?」
  「本当は同じマンションにしたかったんだけど……」
  「せんせいのとこシングル向けの物件じゃない?」
  「え、ええ……」
  「2人で住むにはちょっと手狭だし、なにより外観がオシャレじゃないのよねー」
  「ねえさまもわたしも、その辺のこと気にしちゃうタチだから」
  「ちょ、ちょっと待って! どうして私の住んでる場所を知ってるの!?」
  「それはねえさまが調べて……」
  「あっ」
  「ねえさま……?」
  「しまった。これはまだヒミツする約束だったわ……」
  「あう、ねえさまに叱られちゃう」
  「……ずっと気になってたんだけど」
  「ほえ?」
  「蓬莱泉さんはどうして私のことをそんなに知ってるの?」
  「それに、その‘ねえさま’って人は……」



  「え、えーと、その……あっ! 大変っ!」
  「クラスのお友達に学園を案内してもらう約束してたんだわ!」
  「せんせっ、また後でね!」
  「あ、コラ! ま、待ちなさーい!」


次回に……続くっ♪

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