第13話「それは激安コーラの様に甘く」
「ぐすっ……大好きな人にかまってもらえないって、ものすごくツライよね……」
「まぁ、仕方ないんだけどね〜」
「でもねでもね、七海ちゃん! 相手を真剣に想い続けていれば、いつかきっと報われるよっ!」
「うん、そだね……あはは、は……」
「ツライ時期を耐えて実った恋は、とってもステキなんだよ〜」
「確かに……それは一理あるかも。私、今までは結構、順調だったもんね」
「会えない時間が、愛を育てるんだよね」
「ふぅん、今日はすごくまともな事言うのね、葵」
「あ、葵はいつも、まともだもん!」
「あ……でもね、ドラマでそう言ってたんだよ。それに葵も経験あるから、わかるよ」
「そっか、葵もなんだぁ」
「ちょっと会えないと、泣きたくなっちゃうけど……その後会ったら、いつもより激しくしちゃうんだぁ」
「へっ……激しく?」
「そそっ、そうなの、そうなのっ! 激しくおしゃべりしちゃうんだぁ〜、うふ、ふふ」
「ふぅん……激しく 『おしゃべり』、ね……フフッ」
「な、七海ちゃん……その笑い方、なんかヘンだよぉ」
「でもね、何にしても、ツラい時期はジッとガマンしなくちゃ、いけ……」
「あっまーいッ!!」
「あぅ、ぁぅぅっ?!」
「み、美咲!? 突然出てきて、驚かさないでよね!」
「そうだよぉ、葵の心臓、止まっちゃうかと思ったよぉ!」
「このくらいで止まる心臓なら、いらないわね。ポイよ、ポイ!」
「うぅぅ……いつもながらヒドいよぉ、美咲ちゃん」
「さっきから聞いてたら、何2人で生ヌルい話をしてるのよっ!」
「……葵の文句は、いつも通り華麗にスルーなんだぁ」
「聞いてたって、いつから聞いていたのよ、美咲!?」
「 『葵もすっごく悩んじゃう』 ってあたりよ。悩んでるのに、なんで会話が 『ほんわかモード』 なのよ!?」
「だって、だってぇ……七海ちゃんと葵は」
「またワタシに口答えする気なの、葵っ?」
「あぅぅ……しゅびばしゅん……」
「言いすぎだよ、美咲。確かにほんわかしてたかもしれないけど、葵は真剣に私を心配して……」
「あまーい!! 甘い甘い、それが甘いの! アメリカの激安コーラよりも甘いわっ!」
「ムッ……どこがどう甘いって言うのよ?」
「恋愛に対する姿勢が、根本的に間違ってるのよ! どうしてアンタ達、受身なの!?」
「でも……やっぱり恋愛って、相手がある事だし。会いたくても会えない事ってあるじゃない」
「うんうん、そ〜だよ」
「……だ・か・らっ!! そんなんじゃ、うまくいくものもいかないわよ」
「何で? 相手が忙しかったら、こっちはそれを邪魔しないように……」
「違う、断じて違ーう!! 愛は惜しみなく、奪い去るものなのっ!!」
「奪い取っちゃう!?」
「七海! アンタがそんなだから、恋人とうまく行かないのよ!」
「はぁ?」
「最初は頑なに拒んでいても、押して押して押しまくれば……愛は必ず、成就するのっ!」
「あぅぅ、ゴーイン……でも、美咲ちゃんらしいかも」
「そうよ、これがワタシらしさよっ!」
「自分の愛の素晴らしさを信じて、疑わない。引いた時点で、恋愛は負けてしまうの」
「……あのね、美咲。勘違いしてるみたいだけど、私の悩みはそういうのじゃ……」
「シャラップ! 黙って聞きなさい!」
「ワタシのアドバイスは、間違いないんだから!! 聞いて損なし、ありがたいご利益付きよ」
「……って、聞いてないし」
「美咲ちゃんじゃ、ご利益なさそうだよぉ……」
「もぉ、これからどうなっちゃうのよぉ……」
次回に……続くっ♪
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