第9話「(ピー)とか(ピー)とか」
「ねぇ、美咲。でもなんで急に、お兄さんの留学の話が出たの?」
「確かにそうね……留学には中途半端な時期ね」
「ねぇねぇ、お兄さんどこの国に行くの? アメリカ? ヨーロッパ? いいなぁ……ワクワク♪」
「葵、アンタ……明日の朝日を見たくないの?」
「あ、あぅ……見たいです。まだユウくんと(ピー)とか(ピー)とかしてないもん!」
「(ピー)学生相手に、この子ったら……」
「でも美咲、その留学って、お兄さんが自分から言い出したの?」
「まさか、そんなコトありえないわっ! だってワタシ達あんなに激しく……ぅぅっ」
「……ただれた兄妹関係ね」
「まあまあ……でも確かに、そんなに仲がいいなら、留学なんておかしいわよね……」
「でしょでしょ、七海もそう思うでしょ! こんなにこんなにお兄様を慕っている、超可愛い妹がいるっていうのに!」
「あ、あはは……そう、よね……」
「お兄様に従い、お兄様に尽くし、毎日お風呂で身体だって洗い合っているのに……」
「お風呂で……身体の洗い合い!?」
「っ!! い、いや、あの……今のは、昔のコトで……」
「……美しくも歪んだ、兄妹愛ね……」
「いいなぁ、今度葵も、ユウくんの可愛いお(ピー)をおクチで……ふがっ!」
バキッ!!
「そ、そんなトコ、お口で洗わんでよろしい!」
「七海ちゃんにまでぶたれるなんて、そんなぁ……」
「……私、自分だけ仲間はずれはイヤなの……」
びすっ!!
「だからって、凛ちゃんまでちょっぷしなくても……ひっく」
「……いつか葵を囲んで、3対1プレイもいいわね……ふふ」
「ひっ、ひぃ〜ん!」
「ああ、話が大きく脱線してしまったような……」
「そうよ、今はワタシのお兄様の留学の話をしてるのっ! どうして留学なんて受け入れるの、お兄様〜!?」
「……どうしてなのかな?」
「……きっと、ご両親の差し金ね」
「やっぱり、そうよねぇ……」
「……何よ、何なのよ、みんなのその納得したような雰囲気は?」
「多分、両親にもバレてるかもね……美咲とお兄さんの関係」
「ヒドいわ、パパもママも……愛娘のワタシが悲しむのを知って、お兄様に留学を勧めているなんて!」
「素敵なお兄様が、可愛いワタシに夢中だからって、引き離そうとしているのよっ!」
「……親としては、当然の判断ね……」
「ああ、ワタシは悲劇のヒロインなんだわ……きっと」
「分かってないのには、当人だけなのね……」
「はぁ……もう何もかもが虚しいわ」
「あれだけお兄様一筋だったんだもんね、美咲は。元気ないのもわかるわ」
「でも美咲ちゃんはやっぱり、元気な方がいいよ」
「葵……でも今のワタシは、深い深い悲しみに溺れているのよ」
「あぅぅ……心配だもん、何とかしてあげたいよぉ〜」
「うん、そう……だね。葵のいう通りよ」
「………………」
「でね、葵、考えたんだぁ」
「……何を?」
「美咲ちゃんは、お兄さんが留学しなければいいんでしょ?」
「え……ええ、まあ……」
「……独りの夜は、寂しいわよね」
「うんうん!」
「うぅっ……」
「だからねだからね、どうしたらお兄さんの留学を止めさせられるか、戦略を練るの!」
「へぇ〜……葵の口からでも『戦略』なんて言葉が出るのね」
「うぅぅ……なんか、バカにされてる気が……」
「でもそれ、なかなか面白そうよね」
「……そうね、やっぱり人間、前向きに考えないとね! ポジティブシンキングよねっ!!」
「美咲も燃えてきたみたいね……面白くなってきたかも、ふふふっ」
次回に……続くっ♪
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