第1話 「運命の出会い」




  それはある意味――
  ‘運命の再会’とでも言うべき出会いでした。

  サラサラの長い髪をツインテールに結んだ少女は、
  30人近い視線の雨に晒されながらも、それをものともせず仁王立ちで見据えていた。
  その様子はまるで、女王とその家臣たちのようで……
  私・墨廼江貴子は転校生を紹介するという教師としての職務も忘れて少女の姿に見とれていた。


  「ちょっとアナタ」
  「……へ?」
  「いつまでわたしをここに立たせておくつもり?」
  「あ、ご、ごめんなさいっ」
  ( 私ったら、教え子に見とれるなんて…… )
  「…………」
  ( それにしても、なんてキレイな子かしら。まるで絵本の中から抜け出してきたお姫様みたい…… )
  ( って、いけないいけないっ。教師としてちゃんとするのよ、貴子! )
  「そ、それでは、みんなに新しいお友だちを紹介しますね。蓬莱泉さん、自己紹介をしてくれますか」
  「…………」
  「……あ、あの、蓬莱泉さん?」
  「断るわ」
  「ええっ!?」
  「人の名前を聞く前に、まずはアナタから名乗ったら?」
  「え……? わ、私?」
  「アナタ以外に誰がいるの」
  「そ、そうね。えと……私は墨廼江貴子。今日から蓬莱泉さんの担任になります」
  「そんなこと言われなくても分かってるわよ」
  「あう……」
  「この場にいる大人はアナタひとりだもの」
  「たとえ、見るからに頼りなくて背も低い割に胸ばかり発育してて、教師というより頭の弱い女子大生って感じでもね」
  ( はうう、なんかこの子ニガテ……って、あれ? この感じ、前にどこかで…… )
  「それにしても……へぇ、アナタがあの‘貴子’なのね」
  「へ……?」
  「しゃがんで。せんせい」
  「しゃ、しゃがむ? しゃがむって……」
  「いいから早くする!」
  「は、はい!」
  「うふ……いいコね……それじゃあ、目を瞑って」
  「こ、こう?」



「……チュッ♪」


  「っ!?」
  「き、ききっ、キス!? この子、私にキスしたの!?」
  「よく聞きなさい。わたしは蓬莱泉瑠奈。今日からせんせいはわたしのモノよ♪」


  教室の中が悲鳴にも似た歓声に包まれる中、驚きとショックで硬直したままの私を少女が見下ろしていた。
  これが、私と瑠奈の‘運命の出会い’でした。

次回に……続くっ♪

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